はじめに
夜寝る前に天井を見上げて、「ここが満点の星空だったらいいのに…」と思ったことはありますか?(私はありません…)
今回は、360°コンテンツをゴーグル以外で楽しむ方法について考えたいと思います。
平面投射用のプロジェクターやスクリーンは、手を出しやすい価格で使いやすい、家庭用のものが多く市場に出回っており、すでに様々なコンテンツを投射して自宅で楽しむことができるようになっていますが、残念ながらドーム型のスクリーンはなかなか販売していませんよね。(そもそもドーム用の映像コンテンツがあまりないという理由もありますが…)
ちなみに、ドーム専用のコンテンツサイトとしては、「Fulldome detabase」などが有名です。
VRゴーグル以外の方法で、360°動画を体験したいと感じた場合は、プラネタリウムドームに赴くしかないのが現状。
と、思いきや、実はあるんです。家庭でスクリーンに360°動画を投影して視聴する方法!
それは、自分でドームを作ること。
実は様々な方が自作ドームにチャレンジしてくださっているおかげで、いろいろな作り方のノウハウがあるのです。
自分の作った全天周映像を、自分の作ったドームに投影するという究極のDiYを目指す方がいらっしゃらないとも限らないので、そんな方のために、今回は段ボールドームの作り方をまとめていきたいと思います。
フラーの発明した「ジオデシックドーム」
球体に近い立体を作るために、小さな平面を組み合わせていこう、という発想なのがフラーの「ジオデシックドーム」。
富士山のレーダードームにも採用された構造です。
これは、360°カメラが平面の矩形の動画を張り合わせて球形に再構築するプロセスととても近いのではないでしょうか。
一見すべての平面が正三角形に見えますが、実は正三角形と、二等辺三角形が組み合わさってこの形になっています。二等辺三角形に関しては、天井の高さから計算して辺の長さを決める必要があります。
[作り方]
1.作りたいドームの形状を決め(1V~6Vまでの値があり、数字が大きくなるほど球形に近づきます)、必要パーツとその形状を算出します。
(ドームの形に応じて辺の長さ比率を計算してくれる超便利なサイト:Desert Domes)これで1パーツあたりの形を算出し、必要個数を組み立てれば、ドームを作ることができます。
2.段ボールなどの耐久性のある素材を使って、必要個数のパーツを切り抜きます。
3.組み立てます。(上から組み立てるのが一般的なようです)
簡単に書いてしまいましたが、地道な作業が続くため、(いちいち計算してパーツを切り出す作業は面倒だな…)という方向けに、お手軽な値段のパーツキットも販売もされています。
(段ボールドーム販売サイト:PAPER DOME)
スイカ割り方式で球形を作る
上記のやり方とは別の方法でドームを作っていくやり方もあります。
JAXAの「ダンボールドームプロジェクト」では、まず球形をてっぺんから12分割し(スイカの線に沿って切る形)、それをさらに水平方向に7等分にして展開し、パーツの比率を図り、組み立てる方法でドームを作っています。
(上記リンクの「段ボール製作のしおり」に詳しいやり方と計算方法が書いてありますが、私には少し難しかったのでご興味のある方はぜひチャレンジしてみてください…。)
ジオデシックドームに比べると、各パーツの計算が複雑になりますが、より球形に近づくというメリットもあります。
JAXAのダンボールドームプロジェクトでは、パーツ切り出しの前に、段ボールに白いケント紙を貼り、部品を組み立てた後に上映できるようなワークフローになっていました。
まとめ
ドームフェスタやプラネタリウムライブなど、国内のドーム映像事業が徐々に盛り上がってきており、それに伴って面白いコンテンツがたくさん出てきていると感じますが、視聴体験に関しては、まだまだVRゴーグルが圧倒的に多いような気がします。
360°の映像制作の可能性を広げつつ、より良いコンテンツ制作をするためには、他の優れたコンテンツを視聴する環境を整えるのもひとつのやり方だと、執筆しながら感じました。
上記の情報を、ドーム映像制作の試写などにご活用いただければ幸いです。
もしかして自分にもできるかな、と思って調べてみたら細かい作業が多く心が折れてしまいました。
私も作ってみたいと思いました!
(担当:田中)