Video Tutorialで紹介させていただいた手順をもとに、GoProOmniで撮影した素材をスティッチするためにはどのような工程が必要なのか、テキストでもまとめてみました。
Omniで撮影した素材をインポートする前の様子は、こちらの記事で紹介しています。
撮影素材をPCへインポート「Omni Importer」
GoProOmniを購入したユーザー向けに、「Omni Importer」というソフトが提供されています。
このソフトを使用することで、6枚のSDカードに別々に格納されているOmniの撮影素材を、1つの素材として、まとめてインポートすることができます。
Omni Importerの操作手順は、とてもシンプルです。
6枚すべてのSDカードをPCにつないだ状態で、こちらのソフトを起動し、起動画面上にある「SEARCH ON SD CARDS」というボタンをクリックすると、ソフトが勝手に6枚のSDカードを読み込み、一つの動画に組み合わせて画面上に表示してくれます。
データ読み込み時にラフなスティッチをしてくれるため、OKテイク/NGテイクをプレビューすることもできます。そのため、収録素材が多い時には、インポートしたい素材だけをこのソフトで選別することをお勧めします。
また、素材の内容がわかるように、リネームしておくと、その後の工程でもとても便利です。
インポートする素材が決まったら、「START PROCESSING」という水色のボタンをクリックし、素材の保存場所を指定すると、インポートが始まります。
インポート後は、指定した保存先に素材名のファイルが作成され、ファイル中にはそれぞれの動画ファイルと、スティッチができる状態になった「AutoPano Video Pro」のファイルが入っている状態になります。
大まかなスティッチ「AutoPano Video Pro」
Omni Importerでインポートしたファイルを、AutoPano Video Proでスティッチしていきます。AutoPano Video Proは、カメラの情報を読み込み、大まかなスティッチをテンプレートで行ってくれる、とても使いやすいソフトです。
操作指示は、主に上部のボタンバーで行います。それぞれのボタンの機能と、設定の順番を簡単にご説明いたします。
・まずは、6つのカメラのタイムラインを同期させるために、「Syncronize」ボタンで設定を行います。音声と動作の2つの目印から、スタートタイムをそろえることができます。素材の種類や用途に合わせて、設定を変更してください。
・6つのカメラのタイムラインがそろったら、「Stitch」ボタンでスティッチをします。スティッチ設定のテンプレートがあるので、大まかなスティッチはこのボタンを押せば完了します。
・カメラのブレが気になる場合は、「Stab」ボタンでブレを軽減することもできます。
・カメラの位置によって色が変わってしまうため「Color」ボタンで色を調整します。個々のカメラの持つ色データを認識し、露出や色バランス、色温度、グラデーションなどを自動的に補正してくれます。
・それぞれのカメラの継ぎ目を「Blend」ボタンで調整します。「Blending」タブでは継ぎ目の馴染ませ方を、「Weighting」タブで、継ぎ目の作り方を調整することができます。
・プレビュー画面左下のタブでは、プレビューのバージョンを選ぶことができます。
・画面下のタイムラインでは、上部でレンダー範囲を設定したり(赤いバー)、操作の適用範囲を設定したり(青いバー)することができます。
・全て終了したら、「Render」ボタンでスティッチ済のビデオを書き出すことができます。書き出しに関してはいくつかのデフォルト設定があるので、パソコンの性能や用途によって選択してください。データの書き出し先を設定し、「Apply」をクリックすると書き出しが開始されます。
詳細なスティッチ「AutoPano Giga」
AutoPano Video Proよりもさらに細かい設定は、AutoPano Giga(以下Gigaと表記)という写真用のスティッチソフトを使用する必要があります。
ソフト間のデータ移行は、AutoPano Video Pro(以下Proと表記)上で、プレビュー画面左下の「Edit」ボタンを押すことで、Gigaが起動し、作業素材を引き継ぎます。
Gigaに作業素材が読み込まれたら、Giga上で「Edit」ボタンを押すと、作業画面になります。GigaもProと同様、上部のタブで作業を設定することができます。以下では、Gigaの仕様を簡単にご紹介します。
・Gigaのプレビュー画面上ではグリッド線によるガイドが表示されます。Gigaは写真用のソフトのため、下部にタイムラインはありません。
・「Transformation」のボタンでカメラの中心点などの画角を設定できます。
・「Verticals tools」ボタンで、カメラに映る建物や電柱などを垂直に修正することができます。また、「Automatic Horizon」ボタンで、ガイドに沿って、水平ラインを修正することができます。
・「CP editor(コントロールポイントエディター)」ボタンで、カメラ同士の継ぎ目の処理を確認・修正することができます。ボタンを押すとカメラ番号とラインが表示され、カメラ同士のつながりを確認することができます。また、2つのカメラで、継ぎ目の指標となるのがコントロールポイントで、カメラ同士のコントロールポイントの一致の程度がRMS値として表示されます。RMS値が低いほど、うまくスティッチができているということになります。より詳細にカメラ同士の画を同期させたい場合は、コントロールポイントを増やすこともできます。2つのカメラに共通する建物などの指標を選択すると、ソフトが自動計算し、コントロールポイントがを増やしてくれます。増やしたコントロールポイントは「Quick optimization」をクリックして、最適化します。
・「Mask edition」では、カメラ画像の切り方を修正することができます。緑のマーカーを打つと使用画像を拡大し、赤のマーカーを打つと使用画像を縮小します。
・「Edit color marker」では、色の微調整を自動的に行ってくれます。ただし、Gigaは写真用のソフトなので、Proを使って色を調整するかGigaを使って色を調整するかは、動画の使用目的によってアレンジをしてみてください。
・修正が完了したら、Giga上でセーブをすると、Proに自動的にセーブデータが引き継がれます。
以上がそれぞれのソフトの特性と、Omniを使った撮影でのスティッチ作業の基本手順です。